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『ナ・バ・テア None but Air』森博嗣
- 2008-08-04
- 小説(国内)
![]() | ナ・バ・テア (2004/06) 森 博嗣 商品詳細を見る |
『ナ・バ・テア None but Air』は、森博嗣の、ミステリでない長編シリーズ「スカイ・クロラ」2作目。話は1作目よりも時間を戻り、前作では主人公の上官だった草薙水素の、若き日の話となる。
スカイ・クロラでは草薙はキルドレと確認されて(成長が止まって?)から「15年」と言っているが、本作ではおそらく5年くらいなのではないだろうか?『スカイ〜』で敵方のパイロットとなっている「チータ」は味方で「ティーチャ」と呼ばれるエースであるし、草薙自身は今作中で次代のエースとなっていく。
主題となっているのは『スカイ〜』と同じ想いだ。空を飛んでいたい、他のことはどうだっていい。『スカイ〜』の函南よりも、この作品での草薙の方が、空の上でない日常に対する反発は強いようだ。しかし、逆に、キルドレとしては強い「感情」を持っているということでもあるだろう。
草薙の「ティーチャ」への憧れも、函南とは異なる性質を伺わせている。その点で、函南よりも草薙は弱いと感じた。空を飛ぶ以外のことを、やはり考えてしまっているから。
話は変わるが、研究者という仕事に就くことは、少しだけ、この作品の中での戦闘機乗りと似ているかもしれない。形而上へと考えを遊ばせることに、溺れることができるか。社会的な安定を捨ててでも、精神を「日常」から離陸させて浮遊させることに一生をかけられるか。それは、研究者の条件の一つだろう。森博嗣自身が、研究者か作家にしかなれない人なのだろう、と容易に想像できる。
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